A, 受動喫煙の程度によっては、赤ちゃんが小さめになるなどの影響が考えられます まず妊娠中にママ自身が喫煙している影響について考えてみましょう。タバコの煙の中には、ニコチンや一酸化炭素などの多くの有害物質が含まれています。ニコチンには血管を収縮させる作用があり、また一酸化炭素には血液中の酸素量を低下させる性質があります。そのため、妊娠中に喫煙を続けると、赤ちゃんに十分な栄養や酸素を含んだ血液が届きにくくなり、赤ちゃんが低出生体重児になったり、先天性心疾患などの病気の発生率が高くなったりする心配が出てきます。 一方、受動喫煙の場合は、直接喫煙するケースに比べると、煙を吸う頻度は状況によって少なくなりますが、程度によっては、同様に赤ちゃんの発育や器官形成などに影響する可能性も。家族や周囲の喫煙者には、赤ちゃんに対するタバコの影響についてきちんと説明を。喫煙場所を限定してもらうなどの対策をとって、受動喫煙を回避しましょう。
Q, つわりがひどく、体重も4kg減。赤ちゃんに栄養はいくのでしょうか?
A, 赤ちゃんは、母体から優先的に栄養をもらっているので、大丈夫です 妊娠初期の赤ちゃんは、まだとても小さいため、必要な栄養はほんのわずか。しかも、赤ちゃんは母体から優先的に栄養をもらっているので、発育に影響が出る心配はまずありません。つわりの原因は、ホルモン分泌の変化や要素など、複数の説がありますが、まだ解明されてないのでが現状です。妊娠12週くらいまでには治まるケースが一般的ですが、個人差が大きく、まったく症状が出ない人もいれば、空腹時だけムカムカする人や、出産まで続く人もいます。 つわりの時期は、脱水症状を防ぐために、イオン飲料などで水分摂取を心がけることが大切です。さっぱりしたものや冷たいものなど、食べられるものを見つけて、少しでも口にできるといいでしょう。また、特定のにおいが気になったり、湯気が苦手になったりする場合は、そのストレスの原因になるものを避けて。症状がひどい場合は、我慢しないで早めに受診しましょう。
Q, 風疹の抗体がほとんどないと判明。妊娠中に感染すると、どんな心配が?
A, 赤ちゃんの目や耳、心臓などに影響する可能性があります。 風疹は、「三日ばしか」とも呼ばれ、発熱や発疹などの症状を伴う感染症です。普段なら、かかってもそれほど怖い病気ではありません。しかし、妊娠中に初めて感染してしまうと、「先天性風疹症候群」といって、赤ちゃんの目や耳、心配などにトラブルが起こる可能性が出てきます。ただ、妊娠20週を過ぎると、感染しても赤ちゃんに影響するリスクは低くなるでしょう。万一、風疹の様な症状があった場合は、詳しい検査で最近感染したかどうかを診断できるので、担当医に相談を。 風疹の抗体がない妊婦さんは、感染しないように注意が必要です。風疹は、子どもがかかることの多い病気ですから、幼稚園や保育園などの子どもがたくさんいる場所に行くのは避けること。ただし、人込みに近づかなければ、外出そのものまで控える必要はないでしょう。適度に体を動かすことも大切ですから、緑が多い場所で景色を楽しみながらの散歩などはおススメです。
Q, 妊娠初期から静脈瘤ができ始めました。対策法はある?
A, 弾性ストッキングを着用したり、マッサージをしたりして、血行促進を 妊娠して子宮が大きくなってくると、足のほうから心臓へ戻る下大静脈が圧迫されやすくなります。そのため、血流がたまり、青黒いこぶのようにふくらんでくることがあり、静脈瘤と呼ばれています。太ももやふくらはぎ、外陰部などにできる人もいます。ちなみに、前回の妊娠中に静脈瘤ができた人は、一度血管などに負担がかかっているので、次は早い時期からできてしまうケースもあるでしょう。 できてしまった静脈瘤をこれ以上ひどくならないようにするには、まず、できるだけ長時間の立ち仕事は避け、足を高くして休むようにしましょう。体の血液循環をよくするために、薬局などで扱っている弾性ストッキングを着用したり、お風呂に入って足をマッサージするのも効果的です。よほど悪化しない限り、産後は症状が軽くなっていくでしょう。
Q, マグロやウナギはどれくらいの量を食べると、赤ちゃんに影響するの?
A, たまに食べるといった常識の範囲内の摂取量なら問題ないでしょう マグロなどの一部の魚介類は、水銀を比較的多く含むといわれています。キンメダイ、メカジキ、クロ(本)・メバチマグロは約80g(刺身なら1人前、切り身なら1切れ)を週1回、ミナミマグロ、クロムツなどは週2回までを目安に。逆に、キハダ・ビンナガ・メシマグロ、ツナ缶、サケ、アジ、サバ、イワシ、サンマ、タイ、ブリ、カツオなどはとくに注意は必要ないので、積極的に食べて大丈夫です。 一方、ウナギに関して問題になるのは、ビタミンAです。ウナギのほかレバーなどにも含まれる動物性ビタミンA(レチノール)を、妊娠初期に毎日のようにたくさん摂取してしまうと、母体に貯蓄され、赤ちゃんになんらかの異常が起こる心配が出てきます。しかし、ウナギなど常識的な範囲で、たまに食べる程度なら、まず問題はないでしょう。ちなみに、野菜などに含まれる植物性のビタミンAは、赤ちゃんに影響することはありません。
Q, 子宮頸管ホリープが見つかりました。このまま様子を見ていて大丈夫?
A, 必要なら切除しますが、出血が少ない場合は、様子を見ていて大丈夫 子宮頚管ホリープとは、子宮の入り口にできるいぼのような突起で、そのほとんどが心配のない良性腫瘍です。 通常は、妊娠初期の子宮頚がんの検査で、子宮頚部の細胞をこすり取って調べますから、そのときに子宮頸管ポリープが良性のものかどうかも診断できます。検査の結果、細胞に異常が認められず、小さめのホリープで出血などの症状もあまり見られない場合は、このまま様子を見ることが多いでしょう。ほうっておいても、お産で赤ちゃんが産道を通るときに、ホリープも自然に取れてしまう例がほとんどです。 一方、大きめのホリープで、たびたび炎症や出血を起こす場合は、切迫流産の兆候である出血と区別が難しくなったり、あるいは切迫流産や早産を起こしやすくなったりする心配もあるため、切除手術を行うケースもあります。ただし、手術といっても、外来診察で行える簡単な処置ですし、妊娠経過に影響する心配はまずありません。
Q, 妊婦はカラーリングをしたり、パーマをかけても問題ない?
A, 髪のおしゃれをしても構いませんが、美容院では必ず、妊婦と伝えましょう カラーリング剤やパーマ液の成分は、皮膚から吸収されてもごく微量です。また、赤ちゃんの重要な器官がほぼ完成している妊娠14週以降に行うわけですから、赤ちゃんへの影響はまずないといえるでしょう。 ただし、妊娠中はホルモンの影響で、皮膚が敏感になっています。そのため、体質に合わない溶剤を使うと、皮膚がかぶれたり、顔が腫れ上がったりするなどのアレルギー反応を引き起こす心配は出てきます。とくに、今まで使ったことのない溶剤を妊娠中に初めて使用する場合は、どんな症状を引き起こす可能性があるのかわからないで注意が必要です。 妊娠中に美容院を利用する際は、必ず妊婦であることを美容師に伝え、いつもと違う溶剤は使用しないように配慮してもらいましょう。
Q, 妊娠に気付かず、大量に飲酒。赤ちゃんへの影響はありますか?
A, 1回程度なら影響する心配はないでしょう。今後、控えれば大丈夫 アルコールがおなかの赤ちゃんに影響を及ぼすのは、キッチンドランカーやアルコール依存症の人のように毎日飲酒を続けているケースです。摂取したアルコールは比較的短時間で代謝されるため、1回程度なら、妊娠に気付かず大量に飲酒してしまったとしても、赤ちゃんに影響することはないでしょう。あまり心配しなくても大丈夫です。妊娠中は、たまにコップ1杯のビールやワインなどを口にする程度なら、まず問題ないといわれています。しかし、アルコールには習慣性があるので、控えましょう。 アルコールは、胎盤を通過して赤ちゃんの体にたやすく届きます。もしも妊娠中に毎日大量にアルコールを摂取し続けた場合は、「胎児性アルコール症候群」といって、赤ちゃんの発育や神経発達などにさまざまな障害が起こる可能性も。また、摂取したアルコールは母乳の中にも移行します。産後も、母乳育児中は飲酒を避けましょう。
Q, 卵巣が腫れていることが判明。妊娠初期に卵巣が腫れるのはなぜ?
A, 妊娠性の腫れの場合は、hCGというホルモンの刺激が関係しています 卵巣の腫れを「卵巣囊腫」と呼びますが、妊娠初期に見つかる卵巣囊腫は4%ほどと言われています。そのうち、半分の2%程度が、妊娠を継続させるために増えていくhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロビン)というホルモンの刺激で一時的に卵巣が腫れる「ルテイン囊胞」です。この場合、妊娠14週くらいまでには卵巣の腫れが治まり、元のように小さくなっていきます。超音波検査によってルテイン囊胞の可能性が高いと診断された場合は、そのまま経過を見ていくのが普通です。 ルテイン囊胞の場合は、直径6cmを超えて大きくなるケースはまれです。それ以上に大きくなっていく場合は、卵巣の茎がねじれて激痛を伴う茎捻転を起こす恐れがあったり、悪性腫瘍の疑いがあったりするので、妊娠中に卵巣囊腫の摘出手術を行う例もあります。卵巣囊腫がある場合は、茎捻転に至らないまでも痛みが出る心配もあるので、無理な行動は避けましょう。
Q, X線検査を受けてしまいました。赤ちゃんに影響は?
A, 妊娠6週に胸部X線の検査を1回くらい受けても、まず影響はありません 一般に、検査で使用されるX線の放射線量はかなり少ないため、妊娠に影響を及ぼす心配はないといわれています。とくに、骨盤から離れた場所を撮影する胸部や歯科のX線検査の場合は、受ける放射線量も赤ちゃんに影響を及ぼす可能性が出てくる放射線量の5000分の1以下と考えられるので、問題にならないほど少ない量といえます。りなみに、結核の感染率が高かった数十年前までは、妊婦健診で胸部X線検査を行っていた時代もありましたが、赤ちゃんへの影響は報告されていません。 また、中でも妊娠10週未満のごく早い時期と28週以降の遅い時期は、おなかの赤ちゃんがX線などの影響を受けにくい時期とされています
Q, おりものが増えて、においがきつくなってきました。受診が必要?
A, おりものの量や状態、においが気になったら、早めに受診しましょう。 妊娠すると、エストロゲンという女性ホルモンの増加に伴い、おりものが増えます。そのため、外陰部が湿っぽくなり、不快感やかゆみなど訴える妊婦さんも少なくないでしょう。 ただ、おりものの量が目立って多くなったり、においがきつくなったりする場合は、生理的な症状とは異なるトラブルの可能性も出てきます。最も多いのはカンジダ腔炎で、妊婦さんの約20~30%に見られるといわれています。そのほか、トリコモナス腔炎やクラミジア感染症、GBS(B群溶連菌)などの細菌感染の疑いも。これらの感染症の中には、破水を引き起こしたり、あるいは、分娩時に産道で感染すると、赤ちゃんに悪影響を及ぼす心配のものもあります。おりものが気になる場合は、次の検診を待たずに受診して調べてもらった方がいいでしょう。 おりものが多い場合は、通気性の良い下着を身に着け、おりものシートを小まめに替えて、清潔に保ちましょう。
Q, 「甲状腺機能低下症」を抱えての妊娠です。赤ちゃんへの影響は?
A, 薬で甲状腺ホルモンの状態をコントロールできていれば大丈夫です 甲状腺の機能に障害が起こり、甲状腺ホルモンの産生や分泌が減ってしまう病気が「甲状腺機能低下症」です。甲状腺ホルモンが不足すると、体がだるくなる、常に眠いような状態が続く、むくみが生じる、太ってくるといった症状が現れやすくなることも。また、排卵機能に支障が出やすくなるため、不妊の原因になるケースもあります。妊娠できたということは、治療が順調に進んでいる証拠と言えるでしょう。 ただし、妊娠中に甲状腺ホルモンの状態をきちんとコントロールできていないと、流産や早産、子宮内胎児発育遅延などのトラブルを招く心配が。そのため、内科と産科の両方の指導を受けながら、甲状腺ホルモンの補充療法を続ける必要があります。とはいえ、ホルモンの状態をきちんとコントロールできていれば、赤ちゃんに影響する心配はありません。産後、一時的に病状が悪化する傾向はありますが、薬を飲んでいれば問題ないでしょう。
Q, 妊娠に気づかず、アクティブに動いていました。大丈夫? A, 出血や下腹痛などの心配な症状が見られなければ、まず大丈夫でしょう 妊娠していることに気づかず、妊娠初期に多少激しい運動を続けていても、出血や下腹部などの心配な症状ご見られなければ、まず問題はないでしょう。妊婦健診でとくに何も言われなければ、おなかの赤ちゃんも順調であるケースがほとんどです。心配しなくても大丈夫です。 ただし、これからは、妊婦である自覚を持ち、アクティブすぎる行動は控えましょう。まず、転倒や接触事故などの危険性のある自転車での通勤や移動はなるべく避けてください。体に負担がかかる激しいスポーツもやめておきましょう。 ところで、より正確な妊娠週数や出産予定日は、胎児の大きさに個体差の少ない9~11週に、超音波検査で胎児の体を計測して算出します。検診のたびに修正を重ねるので、遅い時期に計測しても支障はありませんが、出産予定日に少し誤差が出やすくなることがあるでしょう。
Q, 歯茎が腫れて、出血も。妊娠中に、歯や歯ぐきが悪くなるのはなぜ?
A, 歯ぐきの血流が増えるせいやつわりで手入れがおろそかになるため 妊娠すると、ホルモンの影響で粘膜の血流が豊富になります。そのため、普段より歯ぐきに炎症が起こりやすくなることも。とくに妊娠初期は、つわりのせいでどうしても歯磨きがおろそかになりがちなので、虫歯や歯周病が進みやすくなる傾向があるでしょう。 歯の痛みや歯ぐきの腫れ、出血などの症状は、とてもつらく我慢できるものではありません。また、悪化してしまうと、炎症によって増殖した細菌が体内を巡って子宮内に達し、早産の原因になる心配も考えられます。ですから、妊娠中はむしろ積極的に歯科治療を受けたほうがいいでしょう。ただし、治療の際には、薬や麻酔を使用する場合があるので、緊急性がなければ、おなかの赤ちゃんの重要な器官が完成する妊娠12週以降に治療をするのが望ましいといえます。痛みや腫れがひどく緊張性がある場合は、歯科医に相談を。いずれも、歯科を受診する際は、妊娠中であることを必ず告げましょう。
Q, サイトメガロウイルスの抗体がないと判明。どんな心配がありますか?
A, 妊娠初期に初感染すると、赤ちゃんに影響することもありますが、まれです サイトメガロウイルスは、人間の周辺にいるごくありふれたウイルスです。たとえば、人間の唾液や尿などの体液に潜んでいることも多く、育児やスキンシップ、セックスなどによって感染するケースも珍しくありません。 一昔前までは、日本人の90%以上がサイトメガロウイルスの抗体を持っていましたが、現在では70%前後に減少しています。その結果、妊娠中に初めて感染する心配のある妊婦さんもやや増加傾向に。非妊娠時このウイルスに感染しても、風邪の様な症状が出るだけなのでとくに怖がる心配はありません。しかし、妊娠初期に初感染した場合、胎内感染により赤ちゃんの発育に影響が出たり、脳や神経、聴力などに異常が起きたりする可能性も。ただ、その発生頻度は全体の約0.04%と少なく、初感染した場合でも91%は正常に発達するといわれています。 抗体がない妊婦さんは、手洗いを小まめにし、感染予防を心がけましょう。
Q, わきのした付近が腫れ、小さな乳首も。これはなんですか?
A, おそらく「副乳」でしょう。痛みを伴う場合は、冷やすと症状が緩和することも 乳房の発達とともにわきのした付近が腫れてきた場合は、「副乳」である可能性が高いでしょう。副乳とは、退化したはずの乳房の名残で、わきのしたから乳頭を通って恥骨付近までをつなぐラインにできやすいといわれています。妊娠中など乳腺の発達を促すホルモンがたくさん出る時期に腫れてきたり、痛みが出たりすることが多く、出産直後のママのおよそ5%に見られる症状です。 ちなみに、副乳があっても、産後、授乳そのものに影響する心配はありません。ですが、副乳も乳房と同様に、清潔に保つことが大切です。痛みを伴う場合は、冷やすと症状が緩和することも。ただし、ごくまれですが、乳がんによる症状の可能性もあるので、産院できちんと診てもらうことをおすすめします。 産後、授乳が終了すれば、副乳も徐々に小さくなり、目立たなくなる例が多いでしょう。